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君は特別 #サンジ

「サンジさんの特別扱いは、特別扱いじゃないよね」

 楽しくなるはずの夏の夜に似合わない不穏な表情で、隣の彼女が言った。海風が彼女の髪を攫っていく。彼女は鬱陶しそうにしながら、ぱらつく髪を耳にかけた。夜の海は吸い込まれそうな闇を宿していて、月の光だけでは照らし切れない。彼女の静かな怒りは、夜の海からきているように思えた。
 今夜は沖合に碇を下ろして停泊している。なんでも、もう目の前に見えている島では今夜、花火が上がるらしい。それならば、障害物のない海からの方が綺麗に見えるのではというナミさんの発案だった。
 島に出ているだろう屋台や出店に負けぬよう、料理を準備し、テーブルに並べて、あとは花火が上がるのを待つばかり。少しも待てない仲間たちは酒を片手にブルックの伴奏にあわせて陽気に歌っている。それに背を向け、海を、島を無言で見つめるウカちゃんに声をかけたらこれだ。

「サンジさんにとって、女の子はみんな特別でしょう? でも、それって、女の子ならみんな、だよね。特別でも何でもない」

 何がトリガーになったのかわからない。
 ナミさんやロビンちゃんに優しい笑顔を振りまいたのがよくなかったのか。エスコートの仕方がまずかったか。わかりやすく嫉妬に身を焦がすさまが可愛いと思えたのは、彼女のおかげだった。多くのレディ達は、おれの愛を都合よく利用するか、はたまた信用ならない男と無下にあしらうかで、それは、百パーセントおれの態度の問題だから、仕方がない。それもまた、よし。
 でも、彼女は、おれの愛を真っ向から受け止めたうえで、こうもわかりやすく嫉妬してくれる。

「ならいっそ、普通にしてよ」
ドンッ! ドンッ! パチパチパチパチ……
好きな子に普通になんて、出来ないよ
「え? なに?」
ドンッ! ドン、ドンッ!
好きな子に普通になんて、出来ないよ

 わざと花火の音に合わせて。彼女が諦めてくれるまで何度も。別に、嘘じゃないから聞こえても構わないけれど。聞こえたら聞こえたで、彼女はまた「嘘ばっかり」と言いながら、しぶしぶ機嫌を直してくれる気がする。

 好きな子に普通になんて、出来ないよおしまい

夢小説,短編,ONEPIECE 914字 No.12 

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