HOMETEXT .

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脳髄に響く #カク

「ちょっと試してみんか?」

 何でもない風を装ってみたが心臓は早鐘を打っていた。拒絶されるかもしれない、訝しんで嫌われるかもしれない。少しでもそんな素振りがあったらすぐに撤回しよう。ただ自分の中で燻る熱を、ちょっと駄目元で提案してみただけだ。カクはそうやってウカの返事を待った。

「えー!いいよ!どんな感じかな?」

 わしの恋人は無知で、でも、好奇心旺盛で、そしてわしを信じきっている。カクは賭けに勝った、と俯きながら唇を舐めた。

   ◆

「わ、ほんとに見えないし、聞こえないよ」

 ウカに渡したのはアイマスクと耳栓だった。耳栓ってはじめて使う、と無邪気にはしゃいでいるウカに悟られぬよう、「ウカー、好きじゃぞー」等と耳元で喋ってみたりして、カクも努めて無邪気に振る舞った。耳栓は意外と高性能で、余程の大声でないと耳元でもはっきりとは聞こえないようだ。カクとしては耳栓だけでも十分だったが、自分の視線を意識しないウカがどんな風になるのか気になり、アイマスクも着けさせた。こちらの機能も問題無さそうだ。何も見せてもらえない、何も聞かせてもらえない、かわいそうなウカ の出来上がりだ。

「んふッッ─────!!!」

 カクは両手でウカの顔を優しく包み込むと、その動作とは真逆の荒々しいキスをした。視界も奪われ、聴覚も機能していないウカは無抵抗でそれを受け入れる。舌で無理矢理、ウカの唇をこじ開ける。舌を捕まえるとわざと水音をたてて吸ったり絡めたりする。そのまま押し倒して、重力と体重で押さえつけ、ウカの小さな頭を抱えるようにしてさらに貪る。部屋にはもちろん湿った唾液の音が響くが、ウカの鼓膜には口内からこれが直接届いているはずだ。どう響いているだろうか。

「カクっ! これっ! 駄目えッ!!」

 ウカがカクに抱えられた頭をなんとか振り払って、一生懸命唇を離して言った。「あ、頭の中、い……いやらしい音ばっかりで……!」などと抗議しているがもう遅い。

「ふ、無垢な自分を恥じるんじゃな」

 目一杯穢してやる、カクはウカに届かない自分の言葉でさらに嗜虐心が煽られる気がした。

   ◆

 カクは慣れた手つきでウカの服を剥ぎ取ると、柔らかな膨らみそれぞれにに右手と頬を寄せた。ウカの鼓動が伝わってくるのが心地よい。胸の尖りはまだなにもしていないのにピンと上を向き、カクに触られるのを待っている。ウカは意外にも何も言わない。視界と聴覚を奪われていると、人はどうしていいかわからなくて大人しくなるのかもしれない。カクはそんなことを思いながらゆるゆるとウカの乳首に舌を這わせた。

「ああッ! あッ! ああぁ……んんんんッ──! あああッ! や、だっ! だめっ!」
「そんなはずないじゃろ? こんなに尖らせておいて」

 初めはぐりぐりと押し潰すように舐めたり、唇で挟んで舌で転がしたり、こりこりと指で摘まんだりと、固く尖りきった感触を楽しんだが、今は、舌と指を使って両方の乳首を一定のリズムでひたすら弄くっている。もう10分は経っただろうか。反応が鈍るかと思ったがそんなこともなく、ウカは絶え間なく与えられる刺激にびくびくと顎と体を仰け反らせている。ただ、カクの髪を梳くように動かされるウカの指が優しくアンバランスだった。唾液で舌が滑り、またウカの体が跳ねた。腰が何かを探すように揺れている。
 体を起こし唇を離してウカを見下ろした。指は動かしたままだからウカはまだうずうずと体を捩っている。カクの視線を感じられないウカは、口を半開きにして「あああ……」などと声を漏らしていた。

「だらしない顔じゃのう。しゃんとせんか」
「あああんっ!」

 唾液でぬるぬるとした乳首も指で摘まむとウカはあられもない声をあげた。いつもより声が大きいのは耳栓で声量がわからなくなっているせいか。「ウカは本っ当にこれが好きじゃな。はしたないのう」ウカに届かないのをいいことにカクは乱暴な言葉でウカを詰る。つい与える刺激が強くなるのか、ウカの腰もいっそう大きく浮いた。すかさず下着も脱がす。

「いつもは嫌がるが……。今日はどうじゃろうな」

 カクはウカの胸から手を離すとそのままウカの膝に手を添え、左右に大きく割り開いた。いつもなら嫌だの恥ずかしいだのと暴れるが、やはり今日はおとなしい。くぱぁ、とあっけなく露になったウカの秘所は、蜜がしとどに溢れ、シーツを濡らすほどだった。ウカは、はあはあと肩で息をしながら両手をだらりとからだの横に投げ出して横を向いていた。その空いた手で胸を隠したりすることもない。これなら、とカクはウカの両手をとって膝裏辺りに誘導し、自分の足を抱えるように促した。ウカは素直にそれに従う。

「いい格好じゃのう、ウカ。恥ずかしくないのか?」

 自分で足を抱え股を開いている。初めて見る恋人のあまりに卑猥なポーズにカクの下半身も一層固くなるのがわかった。濡れまくったここに今すぐぶちこみたい、という衝動をなんとか抑える。まだ、楽しめる。カクはウカの股ぐらに顔を埋めた。

「いあああッ──!!! そこっ! だめっっ!」

 指で花弁を割り開いて蕾を見つけると、カクはべちゃ、と舌で蕾を覆うようにし、そのまま押し潰した。そしてそのままゆっくり上下に擦る。蕾は瞬く間に固くなり、余計に捕らえやすくなった。ウカは健気に足を抱えたまま、快感に耐えるように指を太ももに食い込ませている。

「とりあえず一回、かの」
「んあああっ!」
「足を閉じたらやり直しじゃからな。せいぜい励むんじゃぞ」
「あ、あ──ッ!」
「お、やり直しじゃな」

 ウカに聞こえていないのをいいことに、勝手なルールを強いて、好き勝手に責める。責めるほどに零れてくる蜜を舌ですくってはクリトリスにぬりたくった。花芯はすっかり充血してぷっくりと膨らんでいた。小さな膨らみを舌先でつつくたび体が弓なりにしなる。いつもはむっちりと閉じている孔も今日はひくつき、ぽっかりと空いているように見えた。
 当たり前だが、例えルールが聞こえていたとしても、こんなにぶるぶると、足だけでなく体を震わせている状態で「足を閉じるな」など無理な話なのだ。それでもカクはこだわった。

「はあ、また閉じたな……。これじゃ終わらんぞ」
「んんんんあッ!!!」
「まったく……いつまでも気持ち良さそうに……慎みはないのか?」
「も、もう! だ、だめっ! あたま! お、おかしくなっちゃ──うああああっ!」

 埒があかない、とカクは濡れそぼったウカのクレバスに己を突き立てた。ウカの嬌声をうっとりと聞きながら、襞をめくり左右に押し広げていく感触を楽しむ。油断すると凄まじい圧迫感で押し戻されそうになる。カクはぴったりと隙間なく腰を押し付けて一旦動くのをやめた。その状態で、ずっと放置していた乳首を再びカリカリと短い爪でひっかく。

「おお、締まる締まる」
「だめっ! これ、だ、だめっ! ──ッ!」
「駄目じゃと? こんなにひくつかせておいてよく言うわい」
「あああああッ!!!!」

 クリトリスを親指で擦るとウカはびくびくと肉襞だけでなく全身を震わせ、爪先をぴんと伸ばして達したようだった。カクを搾り取ろうと中が一生懸命蠢いている。
 ウカは達してもなお、いつまでも足を抱えていた。もしかすると、とその手を足から外すとウカはほっとしたように少し体の力も抜いた。太ももには、ウカの指の跡がついていた。

「ああ、もう! 一生懸命でかわいいのう!」

 カクはたまらずウカに覆い被さり、抱き締めながら腰を振った。届かないとわかっていても、ウカウカ、と耳元で何度も名前を呼ぶ。

「カ、……ク! キス、しな、がらッ! い、こ?」

 わかっているのかいないのか、ここぞとばかりに締めつけてくる。そのうえ、揺さぶられながら舌を伸ばし、息も絶え絶えにねだられたらもう駄目だった。カクはウカの舌を受けとめるように唇を重ね、そしてすぐに果てた。

   ◆

「はあ……。すごかったね! よかった! 新鮮で!」

 体は清めたものの、すぐ服を着るのもつまらなくて、お互い裸のまま布団を被ってごろごろしていた。息も整ったウカが外したアイマスクを玩びながらあどけない顔で言うものだから、今さら「ちょっと暴言を吐いてみたくて耳栓をしてもらった」ことへの罪悪感が頭をもたげてきた。ウカはそんなカクのことは気にもとめず「見えない聞こえない、だと、なんていうか、気持ちいいのしかわからなくて……没頭、って感じでよかったよ」としっかりめの感想を述べていた。そうかそうか、と適当な相槌でごまかす。

「わたし、意地悪なカクも好きみたい」
「ん!?」
「カク、なにか意地悪なこと言ってたでしょう?だらしない、とか。いやらしい、とか」
「聞こえとったのか!?」
「いや、想像だけど……当たってたんだ」
「な、なんで……」

 毛布をひっぱって口元を隠したウカがそれでも悪戯っぽく笑ったのが、おろおろしているカクでもわかった。

「だって、そう言われてるの想像しながらしてたんだもん」

今度はちゃんと聞きたいな、と続けるウカに、完敗じゃ、とカクは両手で顔を覆った。
おしまい

官能小説,短編,ONEPIECE 3819字 No.60 

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