BUKKOMI

脳直日記です

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「元気、なのかァ? 玄弥は」
背中で受け止めた不死川さんの質問は、一生懸命何でもないふうを装っている感じがしたので、元気ですよ、と私も努めて世間話みたいになるようにした。隣にいる玄弥くんを横目でちら、と見やると
「ああ、あのポーズしてる」
「ポーズ?」
私はお味噌汁用の油揚げを切る手を休めて、不死川さんに向き直ると、両手をばっと上げてからぐいと肘を曲げた。すると、上腕二頭筋を強調するあのポーズになる。
「っ、は……! そ、それは、」
私の真面目なポージングを見た不死川さんは、口元を片手で覆って笑いをこらえるように背中を丸めた。そして、確かに元気そうだなァ、と少し涙目で言った。涙の理由は笑ったせいか、悲しいせいか、わからない。
#練習
No.550
321 字
私は後悔していた。不死川さんは昼夜問わず、部屋の隅や廊下の奥、誰もいない台所なんかに目を凝らすようになってしまったから。これならいっそ、いないものを『いる』と言い張る頭のおかしい女として、家を追い出された方が良かったかもしれない。
「あの、不死川さん」
「……なんだァ?」
「玄弥くんを見かけたら、必ずお伝えしますから」
その、あの、もう……、と直接的な言葉で〝見えないものを探すのはやめて〟と言えない臆病な私を、不死川さんは怒鳴りつけたりしなかった。長い沈黙のあと、おォ、悪かった、と詫びただけだ。
#練習

『玄弥くん』が初めから幽霊だと気付いていたのか、いなかったのか、で色々変わりますが、ひとまずこれは気づいていなかったパターン?
No.551
320 字
『目潰しが一番怖かった』
「あァ……?」
「って、笑っています」
辺り一帯を穏やかになぞっていくような風がざあっと吹いて、木々の緑をさわさわと揺らした。
不死川さんは私の言葉を聞いて息を呑むと、険しい顔をさらに歪めて、その日はそれ以上何も言わなくなった。おろおろする私に、玄弥くんは困ったような顔で笑って『ごめんな』と頭を下げた。
#練習

私はまた…救済を…不死川兄弟の救済をしてしまうのか!?
幽霊の玄弥と玄弥が見える夢主が、不死川さんと同居する話のワンシーンです。
No.547
235 字
魅惑の唇に毒を#練習 書きかけ
 それは触れるくらいの、だとか、啄むような、だとか、そんな可愛らしいものではなかった。荒々しく、貪るようで、呼吸も儘ならない。カクがぎょっとした数秒は時間にしては僅かなものだったが、随分長い時間にも感じた。カクは思い出したかのように彼女を突き飛ばす。畳む
No.438
141 字
とりあえず書く、をモットーにおのれのお題つかって#練習 しています。薄目でみてね。制限時間は帰ってきて寝る準備できてから寝るまで(22時くらいまで)。制限多いからか、ワンパなので引き出し増やしたいです。
#twi

Twitter はずして、saezutter をつなぎました。Twitterは私にとっては用水路に笹船を流すようなものなので…って用水路に笹船を流すって伝わりますか?田舎じゃないと無理か。
#更新履歴
No.437
210 字
浮気ならいいわ #練習
 浮気ならいいわ、と彼女が言うので、それはそれで好都合、と始まった。それが今、終わろうとしている。彼側のだいぶ一方的な都合で。
黒衣を纏った若い男は、ベッドですうすうと寝息をたてる女を見下ろしながら、ほとんど息だけの声で今さらじゃけど、と呟いた。衣擦れの音すらしない部屋で、それでも女は目を覚ます気配もない。
「なんで本気になったらいかんかったんじゃ」
 女の胸は規則正しく上下するだけ。いくら待っても女の唇は一文字に結ばれたまま。何より男にもう時間はない。刻一刻とタイムリミットが近づいて、男はそっと部屋を出る。ドアがゆっくり音もなく閉まる刹那、
「本気になったら辛いでしょう」
 と、ほころぶ花のような女の声が聞こえた気がして、一瞬足が止まるが、気のせいだと頭を振ってそのまま部屋を出た。うっかり引き返してしまわないようにひたすら足を動かすごとに、楽しいだけの、夢のような日々が音もなく終わっていく。畳む

No.436
415 字
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