「元気、なのかァ? 玄弥は」 背中で受け止めた不死川さんの質問は、一生懸命何でもないふうを装っている感じがしたので、元気ですよ、と私も努めて世間話みたいになるようにした。隣にいる玄弥くんを横目でちら、と見やると 「ああ、あのポーズしてる」 「ポーズ?」 私はお味噌汁用の油揚げを切る手を休めて、不死川さんに向き直ると、両手をばっと上げてからぐいと肘を曲げた。すると、上腕二頭筋を強調するあのポーズになる。 「っ、は……! そ、それは、」 私の真面目なポージングを見た不死川さんは、口元を片手で覆って笑いをこらえるように背中を丸めた。そして、確かに元気そうだなァ、と少し涙目で言った。涙の理由は笑ったせいか、悲しいせいか、わからない。 #掌編 favorite No.550 2024/04/30(Tue) 21:50 322 字
背中で受け止めた不死川さんの質問は、一生懸命何でもないふうを装っている感じがしたので、元気ですよ、と私も努めて世間話みたいになるようにした。隣にいる玄弥くんを横目でちら、と見やると
「ああ、あのポーズしてる」
「ポーズ?」
私はお味噌汁用の油揚げを切る手を休めて、不死川さんに向き直ると、両手をばっと上げてからぐいと肘を曲げた。すると、上腕二頭筋を強調するあのポーズになる。
「っ、は……! そ、それは、」
私の真面目なポージングを見た不死川さんは、口元を片手で覆って笑いをこらえるように背中を丸めた。そして、確かに元気そうだなァ、と少し涙目で言った。涙の理由は笑ったせいか、悲しいせいか、わからない。
#掌編