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私の名を聞いた彼は「好きな人と同じじゃ」と力なく笑った。そしてそのまま私を抱いたけど、生憎後ろからだったから、最中の表情は結局わからずじまい。

私の島はグラインドラインにあるわりに、多分なんの変哲もない平和な島だ。多分、というのはこの島から出たことのない私にはこの島と他の島と比べられないからというのと、たまに立ち寄る海賊が、島のあまりの平凡さに毒気を抜かれるのか、ただただ物資を補給して島を出ていくからだ。幸い、食べ物は豊富にある島で、だからこそ海賊達には奪われる前にこちらから差し出すことができるのだが、味が優れているとか珍しいとかいうこともないらしく、つまり、蹂躙して奪うほどの魅力がこの島にはないんだろうな、と島のみんなが思っている。
でも別に、それを卑下するわけでもないのがこの島の人たちの魅力だ。まあいいか、でみんな生きている。ぬるま湯みたいなこの島は、グランドラインを航海できるような海賊たちには心底退屈だろう。畳む


#掌編 #進捗
No.660
425 字
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