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私は後悔していた。不死川さんは昼夜問わず、部屋の隅や廊下の奥、誰もいない台所なんかに目を凝らすようになってしまったから。これならいっそ、いないものを『いる』と言い張る頭のおかしい女として、家を追い出された方が良かったかもしれない。
「あの、不死川さん」
「……なんだァ?」
「玄弥くんを見かけたら、必ずお伝えしますから」
その、あの、もう……、と直接的な言葉で〝見えないものを探すのはやめて〟と言えない臆病な私を、不死川さんは怒鳴りつけたりしなかった。長い沈黙のあと、おォ、悪かった、と詫びただけだ。
#掌編  

『玄弥くん』が初めから幽霊だと気付いていたのか、いなかったのか、で色々変わりますが、ひとまずこれは気づいていなかったパターン?
No.551
321 字
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