七夜えにし

「もう離さんぞ。覚悟はいいか?」

 背後のカクは私の蕩けた割れ目をわざと指で押し広げ、熱く固く屹立した自分のモノを突き立てながらそう言った。返事もしないうちにずちゅずちゅと腰を動かされ、何も考えられなくなる。
 カクの動きは性急で、まるで何かに追い立てられているような焦りがあるように思えて不思議だった。私は理由を問いたくて「待って」と言いたいのだが、カクはそんなのお構いなしに腰を打ちつけてくる。結果、私の口からは「ああ゛ッ! だ、だめぇッ!」と嬌声ばかりが漏れた。あまりの快感に腕で体を支えきれなくなった私は、顔を枕にうずめる形になるのだが、そうなると一層お尻が高く持ち上がってカクを悦ばせる羽目になる。
 ようやくカクがいったん動きを止めてくれた頃には、もうぐったりして、声も枯れ果てていた。ひゅうひゅうとかすれた呼吸をする私に、カクがやっと声をかけてくれる。

「すまん、。つい……でも、お前さんにはわからんじゃろ? わしがどれだけこれを待ち望んでいたかなんて」

 繋がったまま後ろから胸の突起を転がされると、私は呆気なくまただらしない声を出してしまう。カクの表情は私からは見えないが、声はなんだか切なそうなので、私にはわけがわからない。カクはなんでこんなに焦ってるの?

「か、カクッ……」
「今この瞬間が永遠に続けばいいのにのう」

 「せめて体にはわしを覚えて帰ってもらわんと」カクは腰をぴったりと密着させたままぐりぐりとグラインドさせ、私の快楽の底の底を責め立ててくる。それだけでもたまらないのに、カクは私の一番敏感な突起にそっと指先を添えた。私は自分が襲われる快感の大きさを想像して青ざめる。

「カクッ! それ、それは許してぇッ! ア゛ッ、む、無理だから──ッ!」
「すまんのう、。痛くはせんから」
「や゛あああ゛あ゛ぁぁあッ!」

 だめだめだめだめ、戻れなくなる! 頭ではそう思うのに、口から出るのは、身体の芯から喜んでいるような声ばかりだった。カクに伝わるわけがない。
 前から後ろからぴったりと密着されて、外と中から刺激されたらもう抗えなかった。カクが突起に添えていた指をくりくりと優しく動かす。秘所からは一度もカクのものを抜いてくれず、ひたすらぐいぐいと押し込まれた。激しく突かれた後で、こんなに優しく丁寧にじわじわと追い詰められたら抵抗する気も失せる。
 空いていた片手で乳首を摘ままれた瞬間、潔く果てた。薄れゆく意識の中でカクの声が遠くに聞こえる。

、約束できるか? わしがいない間、他の男を咥えこむなよ?」

 カクが何を言っているかは最後まで分からなかったけれど、私は馬鹿みたいに「うん、うん」と頷いて意識を手放した。



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