深夜の甘い背徳

 開け放たれた窓から夏の夜風が入ってくる。生ぬるい風は火照った頬を、首を、背中を冷やしてはくれなかった。は、どうしてこんなことになったんだろう、と考えなしでものを言う自分を恥じる。窓に背を向けて、窓の桟に肘を置くことで、なんとか立っていられた。股の間にはカクの頭があって、カクはさっきから一心不乱に、そこにある突起を舌を這わせている。もう、どれくらい時間が経ったろう。
 舐められてイったことがない、と漏らしてしまったのが良くなかった。それを聞いたカクは肩眉を上げて「へえ」と笑って、そのあと、「じゃあ」と言った。そうしていま、窓際に立たされて、ひたすら責め立てられている。窓を開けたのは「暑いから」だったけど、絶対違う。私はさっきから、いやらしい声が外に漏れないように、必死に唇を噛んでいる。
 はじめは、こんなもんかな、と思った。気持ち良くないわけではないけど、そこまででもない。舌を突起にぺたと密着させて、そっと震わせ、上下に揺らす。段々刺激が強くなる。でも、それがずっと、五分、十分と続いても私はいけなくて、私が申し訳なくなって「もういいよ」と言ってもカクはやめなかった。

「その気遣いのせいでいけんのじゃろ。わしのことは玩具とでも思っとれ」

 そういった後のカクはこれまでは準備運動でした、と言わんばかりに、舌先でひたすら突起を押し潰すように弄ってきた。じわじわと蕩けていた突起には酷な刺激で、膝ががくがくと震える。カクの顎が自分の股から流れるもので濡れていくのが、また情けなく「も、いい、のに」と途切れ途切れに頼んでみても、カクはやめてくれなかった。充血した突起を、れろ、れろ、とゆっくり嬲って、ぴん、ぴんと舌で弾いて、毎回、そのたび、私の身体が跳ねるのを確認して楽しんでいるように見えた。「カクぅ……」と私が甘えた声を出すと、カクは「はあ、仕方ないのう」といったん口を離して立ち上がり、私の後ろの窓を閉めてくれる。さっきまでずっと咥えられていた突起が、解放されたのにかえって、うずうずとして、腰がもぞもぞする。

「じゃあ、本番じゃな」

 私が嘘でしょというために息を吸った瞬間、カクはまた陰核への愛撫を再開した。唇と舌を使って、膨らんだ突起をさらに吸いながらぐりぐりと追い詰めるような動きは、さっきまでは手加減されてたんだと私にわからせようとする舌遣いで。
 私は窓が閉まった安堵もあり、「あああぁアあぁぁあっ!」と絶叫してあっけなく果ててしまった。崩れ落ちそうになるのをカクが両手で支えている。ぴくぴく震えるそれを、カクがよしよし、とでも言うように、舌で撫でる。果てたばかりの身体にはそれだけでも辛い刺激で「いった、いったよ。ありがとう」と掠れた声で言うのだが、カクはまだ私の股に顔をうずめたままで、私を狂わすそれを、自由にしてくれない。嫌な予感とそれは同時に襲ってきた。

「アあぁぁあ゛あっ! あッやあ゛っ! い゛ッだあ、からあ゛!」

 ぢゅ、ぢゅ、ぢゅ、と壁に押し付けられるようにカクの柔らかい舌と唇が迫ってくる。逃げ場のない私はカクが満足するまでひらすら喘ぐしかなかった。



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