溺れ月
「前から思っとったんじゃけど」
カクくんは私の目をまっすぐ見ながら言った。そうやって見つめながら、指でナカをかき回すのはやめて欲しい。反応をつぶさに観察されているみたいで、目をつむってしまう。でも目をつむると、弄られているところ、弄られていないところ、カクくんの声、息、体温、そういうのを全部掬い上げてしまう。
「さんはずいぶん静かにイくのう」
「────ッ! ッはぁ……はぁ……」
ナカの弱いところを抉られながら、親指でクリトリスを押し潰されたので、私はカクくんが言うように静かに絶頂を迎えた。確かに私はあまり喘がない。「……、ッ、不安になる……?」と恐る恐る聞くと、カクくんは「何が?」と問い返してくる。
「昔も、言われた」
「他の男の話は聞きたくないの~」
カクくんが笑いながら、果てたばかりでうねうねしているのをものともせず、ぐにぐにと指の本数を増やしてくる。ゆっくり押し広げられていく圧迫感に、背中が反っていく。辛うじて「ごめんなさい」と言うと「嘘じゃ、嘘。悪かった」と謝りながら空いている手で乳首を戯れに摘まむ。それでも私の声は出ない。吐息が漏れるだけだ。
「ッ、ぁ……、ふ……」
だからか、ぐちゅ、ぐちゅ、とやけに水音が響く気がして、恥ずかしかった。耳を塞ぎたくとも、両手はいつもシーツを握りしめていて、それはかなわない。
「不安になんかなりゃせんよ」
「ァっ……、ま、た──ッ!」
さんが気持ちよさそうなのは十分わかるからの、というカクくんの声を聞きながら私はまた果てた。
カクくんはもうずっと私のナカに指を入れて楽しんでいる。私のソコは乾くどころか、とろとろと蜜を流し続け、カクくんの指を咥えて離さない。「一本でもきついのう」だとか「ここじゃろ、もうばれとるからな」だとか、いちいち言っては私に意識させる。
「はあはあ息が上がっとるし、乳首はずっと勃ちっぱなしじゃし、鳥肌もすごいし、何よりこの、ナカがのう。気持ちいいたびに、きゅっきゅっ、てしとるじゃろ? わしの指をもぐもぐ咥えるばっかりで、全然離してくれんしなあ」
ばればれじゃろ~、と屈託のない笑顔で私の「気持ちいい」を羅列される。私は「気持ちいい」が伝わってるか不安で聞いたはずなのに、全部ばれてる、と自覚した途端、また果ててしまった。カクくんには全部ばれてる。きっとまたすぐイかされる。
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